Vol.87 No.8 関東支部YFE委員会主催「子供いもの教室」

小学5年生,いもの作りへの挑戦!~子供いもの教室~

 日本鋳造工学会YFE(Young Foundry Engineers)委員会では,当学会所属の若手技術者だけでなく,将来日本の「ものづくり」を担っていく小学校から高校生の生徒さんや地域の方々に「鋳物」に触れて,興味を持って貰い,「ものづくり」への興味の啓発のために様々な活動を行っています.この“YFEだより”では全国8支部のユニークなYFEの活動をご紹介致します.第1回のYFEだよりは,先日早稲田大学西早稲田キャンパスで開催された第166回全国講演大会に合わせて,関東支部YFE委員会主催で行われた「子供いもの教室」を紹介致します.


 第166回全国講演大会の前日の5月22日(金),早稲田大学各務記念材料技術研究所において「子供いもの教室」が開催されました.今回,鋳物作りに挑戦したのは,新宿区立戸山小学校の5年生です.生徒さんは2クラスで56名,担任の先生2名を含めて,総勢58名が初めての鋳物作りにチャレンジ致しました.

ちょうど戸山小学校は運動会を控えており,当日も予行練習の合間を縫っての参加であり,限られた時間の中でのいもの教室になりました.担任の先生の話によりますと,先生からは「いもの」に関する予備知識はあまり与えず教室に来たとのことです.生徒さんから先生への質問では,「いものって食べられますか?」とか「いものって生きていますか?動いていますか?」とかあったそうです.ともあれ,小学5年生達の「いもの」づくりへの挑戦が始まりました.

 2クラス56名を一度に行うため,2人1組で鋳型作りを行いました.鋳型作りはもちろん初めての体験でしたが,スタッフの説明をきちんと聞いて,皆真剣な眼差しで取り組んでおりました.模型を外す際に失敗しても,再度鋳型作りに取り組む生徒さんもおりましたが,相方の生徒さんがアドバイスしたり,砂込めを手伝ったりして,協力して鋳型を完成させていました.注湯(錫合金と亜鉛合金)作業はスタッフが行いましたが,鋳型から取り出した際,苦労して作った自分の作品に大変感激・満足しておりました.1人の生徒さんの製作が完了すると,もう一人の生徒さんの作製に入ります.一度,鋳型を作製するのを見ていますので,2回目はスタッフがほとんど手出しすることなく,上手に作製しておりました.タイトと思われた時間ですが,生徒さんの技術力の向上とスタッフの指導力もあって,予定時間を残して教室は終了となりました.最後に2人の担任の先生も鋳型作りにチャレンジしました.もちろん,鋳型作りの指導をしてくれるのは,既に鋳型作りをマスターした生徒さん達です.先生を取り囲んで,いつもの教室とは逆な立場で厳しく?丁寧に?指導していたのは大変微笑ましい光景でした.教室終了後には,鋳物がどのような物であるかよく分かったことや,大変楽しく,有意義な機会を与えてくれたことに対しての感謝の言葉を頂きました.副校長の先生からもお礼の言葉を頂き,今回のいもの教室の内容は既に小学校のホームページに掲載して頂きました.後日,届きましたアンケートには,こんなコメントがありましたので,一部紹介させて頂きます.

「鋳物のセット全部欲しい.」

「すべて楽しかったです.また来たいです.絶対行きます.今度はお母さんを連れて行きたい!」,「とても楽しくて将来の夢を鋳物を作る人になりたいと思います.」

「今回は時間の関係で上手に作ることが出来なかったので,リベンジしたい」との感想も沢山頂きました.子供達が「ものづくり」に興味を示してくれたことにホッとしました.また,スタッフが後片付けを始める際に,多くの生徒さん達も進んで手伝ってくれましたことを付記しておきます.

 最後に,この「子供いもの教室」を開催するにあたって,会場を提供して頂いた早稲田大学各務記念材料技術研究所,参加に快諾してくださった戸山小学校の皆様,(公社)日本鋳造工学会の皆様,お手伝いして下さった学生スタッフの皆様,当日ご多忙に関わらずご協力頂きました皆様に心より感謝申し上げ,「子供いもの教室」の報告とさせて頂きます.

連絡先

(公社)日本鋳造工学会関東支部 白木尚人
〒158-8557 東京都世田谷区玉堤1-28-1 TEL:03-5707-0104 内線2584 E-Mail:nshiraki@tcu.ac.jp