第97巻シリーズ「鋳物歳時記2025」

第97巻の表紙は,季節ごとの鋳物のある風景をお届けします.

Vol. 97 No. 1「メディカル用ロボットベース」

 

 

 

令和6年度Castings of the Year賞受賞作
城田鋳工株式会社

 

 


Vol. 97 No. 2「超精密加工機のベッド」

 

 

 

 

 

 

令和6年度Castings of the Year賞受賞作
芝浦機械株式会社

 

 


Vol. 97 No. 3「川口市の初午太鼓」

97巻の表紙シリーズはすっかりおなじみとなった鋳造歳時記をお届けします.今月はキューポラのある街で有名な川口から.3月の最初の午の日に,川口の鋳物工場で鳴り響いていた初午太鼓.初午の午は,お稲荷さんのことで,稲荷神社に火伏せを願って奉納太鼓として叩き始めたことが起源だそうです.

 

 

川口は鋳物屋が多く,火を使うので,火災予防や安全を祈り,旧暦で最初の午の日に,鋳物工場で太鼓を叩いて祭りを行いました.一晩中鳴り響く太鼓の音が,荒川を超えて東京の赤羽まで聞こえたとの言い伝えもあるようです.この郷土芸能を伝えるために初午太鼓保存会が設立され,毎年3月にコンクールを行っています.

 


Vol. 97No. 4「御印祭」

毎年4月27日には,和歌山県日高川町の道成寺で鐘供養会式が行われます.年中撞かれている鐘の供養をする日で,能や歌舞伎・浄瑠璃などでも人気の高い安珍,清姫の日高川伝説に基づき,ジャンジャカ踊りを行います.安珍が隠れた大釣鐘を蛇身で巻き,火を噴きながら果てる清姫の執念を再現します.

 

 

道成寺は和歌山県最古の寺で,大宝元年(701年)に創建されました.現在の道成寺には釣鐘はなく,羽柴秀吉が紀伊州攻めを行った時に配下の仙石久秀により京都に持ち帰られ,妙満寺に納められています.


Vol. 97No. 5「鋳物の兜」

5月5日は,端午の節句です.「端午」とは「はじめの午の日」という意味で,特に5月に限ったわけではないのですが,「午」という字は「ゴ」とも読むので,五月五日の「五」の音と混同されて五月五日が端午の節句となったようです.菖蒲の節句とも呼ばれ,国民の祝日「こどもの日」となっています.この日に,男子の健やかな成長を祈願し,各種の行事を行う風習があります.

鎧,兜,刀,武者人形や金太郎・武蔵坊弁慶を模した五月人形などを室内の飾り段に飾り,庭にはこいのぼりを立てるのが,昔から続く典型的な祝い方です.鎧兜には,男子の身体を守るという意味合いが込められています.表紙の写真は,五月晴れの空を泳ぐこいのぼりと,珍しい鋳鉄鋳物の兜です.

 


Vol. 97 No. 6「鋳物の傘立て」

九州南部が沖縄よりも早く,5月16日頃に梅雨入りしました.平年よりも半月ほど早いようです.反対に,毎年一番に梅雨入りする沖縄は,平年よりも12日ほど遅れてしまいました.これも,地球全体の気候変動の影響を受けているのでしょうか? そのほかの地方も順番に梅雨入りし,7月末くらいまで雨の多い季節が始まります.毎年のこととはいえ,鬱陶しい季節です.

今月の表紙の写真は鋳物の傘立てを探してみました.デザインの自由度が高い鋳造の傘立てはおしゃれで高級感のあるものが多いですね.少しでも気分を明るくして,梅雨明けを待ちたいものです.


Vol. 97 No. 7「御印祭」

富山県高岡市では,毎年6月20日に御印祭(ごいんさい)が行われます.加賀藩主の前田利長公の御恩に報いるお祭りです.19日の前夜祭では,高岡鋳物発祥の地である高岡市金屋町で,弥栄節(やがえぶし,通称「やがえふ」)の町流しが行われ,踊り手が町中を踊り歩きます.弥栄節は,高岡鋳物作りの作業歌で,たたら踏みの拍子をそろえるために唄われたそうです.

 

「エンヤシャ,ヤッシャイ」「ヤガエー」の掛け声に合わせて,法被姿に鉢巻き,手に竹の棒を持った男性が地面を強く踏む鋳物師をイメージした踊りが入ります (ねっとこ金屋より) .

今では,老若男女を問わずいろいろなグループが弥栄節を唄いながら金屋町を踊り歩きます.