第96巻シリーズ「麗しき亜鉛ダイカストの世界」
第96巻の表紙は,亜鉛ダイカスト製品を月替わりでご紹介します.
*No.1,No.2は前年度のCastings of the Year受賞作品を紹介します
Vol. 96 No. 1「NIKUITA」
令和5年度Castings of the Year賞受賞作
株式会社浅井鋳造所
Vol. 96 No. 2「ロビンマスク」
令和5年度Castings of the Year賞受賞作
株式会社キャステム
Vol. 96 No. 3 亜鉛合金ダイカスト「ロボットフィギュア」
亜鉛合金ダイカストは,耐衝撃性や硬度が高く,製品表面が滑らかでめっきや塗装などの表面処理がしやすいといった特徴があります.生産する上では,溶解温度が低くて流動性が良く,溶湯が金型と反応しにくいので,複雑で精密な製品を鋳造することができます.このような特徴を持つ亜鉛合金ダイカストは,工業製品の部品や美術工芸品など,いろいろな製品に適用されてきました.
第96巻の表紙の写真は,ものつくり大学名誉教授の西直美先生の秘蔵コレクションを提供いただき,古くから適用されてきた製品を中心に,亜鉛合金ダイカストを特集いたします.今月の表紙は,1970年代にテレビで放送された子供向け番組のキャラクター“ロボコン”と“マジンガーZ”のフィギュアです.ある年代の人には懐かしいキャラクターですね.
Vol. 96 No. 4 亜鉛合金ダイカスト「事務用品」
今月の亜鉛合金ダイカスト製品はレトロな事務用品シリーズです.ナンバリングスタンプも鉛筆削りもずっしりとした重さがあります.最近の鉛筆削りは軽いものが多いですが,重たい鉛筆削りの方が削るときに動かないので使いやすいという声も.ナンバリングスタンプは,うまく押せるようになるのにちょっとコツが必要ですが,ガシャン,ガシャンとスタンプする感覚はなかなかに快感です.
鉛筆削り器:三菱鉛筆製.W7.5cm×D8cm×H11.2cm,重さ約620g
チェックライター:トーホー製.W10cm×D20cm×H13.5cm,重さ約2.2kg
ナンバリングスタンプ:トーホー製.W6.5cm×D3.5cm×H14.5cm,重さ約460g
Vol. 96 No. 5 亜鉛合金ダイカスト「列車の灰皿と構内マイク」
今月は,懐かしい人には懐かしい,知らない人には驚きの国鉄時代の品です.少し前に放送されていたドラマで,昭和からタイムスリップしてきた中年男性がバスの中で煙草を吸って周囲の人に眉をひそめられる…というシーンがありましたが,そう,昭和の時代には客車の座席に灰皿が設置されているのが当たり前でした.しかし時代は令和になり,今年の春からはとうとう新幹線のすべての車両から喫煙ルームが消えました.よく見ると栓抜きまで付いている右の写真の光景,懐かしいというよりは「そういえば見なくなって久しいなァ」と思う向きも多いのでは.
表紙の灰皿の隣にあるマイクは,1963年に発売された,国鉄駅構内の標準マイクとして採用されていた単一指向性マイクです.こちらもレトロな雰囲気満点です.
旧国鉄灰皿:旧国鉄時代の客車用灰皿.W14cm×D5.4cm×H12.3cm,重さ約850g
ダイナミックマイク:AIWA製.φ4.6cm,H13.7cm,重さ約600g
Vol. 96 No. 6 亜鉛合金ダイカスト「ウイスキーキャップと船の置物」
趣味の時間というのはいいものです.好きな音楽をかけ,お気に入りのインテリアを眺めながら,香りのいいお酒をちびちびとやってゆったり過ごす.忙しい現代人には最高のぜいたくです.今月の表紙は,そんな瞬間を亜鉛合金ダイカストで彩りました.船の置き物といえば,やはり帆船が圧倒的に人気で,高いマストに張られた帆の造形美にうっとりと引き込まれます.その傍らには荘重な雰囲気で佇むウイスキー.ウイスキーキャップは個性的なものが少なくなく,ブラントンのサラブレッドをあしらったキャップのように,ブランドイメージを形成する役割も果たします.このGold & Gold(ニッカ)専用のボトルキャップは,終売となる2015年まで親しまれていました.日本のウイスキーらしく,和風なたたずまいがいい味を出していますね.
帆船のオブジェ:W34cm, D10cm, H26cm.亜鉛合金ダイカストに金メッキ.幕府海軍が保有していた軍艦,咸臨丸を象ったもの
ウイスキーキャップ:ニッカウヰスキーG&G専用キャップ.鎧部分が(ものによっては兜も)亜鉛合金ダイカストで,ニッケルブロンズメッキを施してある.重さ480~600g(販売時期により異なる)
Vol. 96 No. 7 亜鉛合金ダイカスト「三つ子皿と一輪挿し」
突然ですが,「ヌン活」をご存じでしょうか.2022年の流行語大賞にもノミネートされたこのワード,“アフタヌーンティーを楽しむ活動”という意味です.「アフタヌーンティー」からどうしてヌンを切り取ったのかという謎は横に置いておくとして,若者を中心に流行っているこの活動,ホテルやカフェでゆっくりお茶を楽しむという非日常的な時間の過ごし方が受けているようです.イメージは18世紀イギリスのティータイム,といったところでしょう.おいしいお茶と一緒に食べるのは,スコーンやサンドイッチ,ケーキなど,見た目も華やかな軽食たち.それを乗せるお皿もやはり,おしゃれに決めたいものです.
表紙の写真,食卓の中央でかわいらしくお菓子が盛りつけられているのは,亜鉛合金ダイカスト製の三つ子皿.持ち手の部分にも鋳造品らしい細工が施されていて,ぜいたくな気分を盛り上げてくれます.そしてその後ろにそっと寄り添うように,こちらも亜鉛合金ダイカスト製の一輪挿し.亜鉛合金ダイカストで楽しむヌン活,今日から始めてみませんか?
三つ子皿:W29cm,D27.5cm,H13cm,重さ640g.亜鉛合金ダイカストに銀めっき.
一輪挿し:φ5.5cm,H19cm,重さ195g.亜鉛合金ダイカストに銀めっき.
Vol. 96 No. 8 亜鉛合金ダイカスト「釣り竿のリール」
今月の表紙は,亜鉛ダイカストのリールです.後ろには東京ゲートブリッジの下にたくさんの釣り人.この釣り場は天気の良い日にはひしめくように人が並び,賑うのですが,実は日本の釣り人口は減少の一途を辿っています.「レジャー白書2023」によると,2022年の釣り人口は約520万人.1998年の2020万人をピークにおよそ4分の1に減っています.ところが,釣り具となると話が別で,こちらの売り上げは伸びているのだそうです.特に日本のメーカーは品質と値段のバランスが良く,海外でも受けているのがその理由とか.
釣りを楽しむ人に,ずっと糸を垂らしていて飽きないのか,と質問したところ,「3秒後に釣れる,と考え続けているので飽きない」という答えが返ってきました.なるほどねえと思うような,いやそんなの無理でしょうと思うような.
表紙のリール:1978年 リョービ製
Vol. 96 No. 9 亜鉛合金ダイカスト「燭台とワインカップ」
今月の表紙は大人ムード漂う書斎の風景をお届けします.いまどきろうそくで書き物をするような人はあまりいないかと思いますが,炎というのはいつまで眺めていても飽きないもの.高級感のある金属製のワインカップを片手に,優雅な曲線美の燭台に灯るろうそくの,炎のゆらめきを肴に秋の夜長を楽しむのはいかが.
カリスあるいはチャリスなどと呼ばれる聖なる杯,聖杯.キリスト教の儀式でブドウ酒を注ぐために用いられる器ですが,こちらは金属製のものが多く,意匠性に優れたものは美術館に展示されたりしています.ネットの画像検索でカリスを調べてみると,美しい細工を施された金属製の杯がたくさんヒットします.金色の器に映える赤ワインは,たいそう上品な輝きを放ち,人々を敬虔な気持へと誘うのでしょう.
燭台(浅川製作所):高さ28cm,幅36cm.亜鉛合金ダイカストに金めっき
ワインカップ(エーケーダイカスト):高さ9.2cm,直径4.5cm,重さ110g.亜鉛合金ダイカストに金めっき.