鉄鋳造の遠心鋳造方式で,製品に巣穴・ひけ巣が発生するのですがどんな原因が考えられますか? 種類としては、貫通タイプや肉の中に存在する(旋盤などで表面をさらうと出てくるもの)タイプがあります.

 遠心鋳造法における鋳造欠陥として貫通タイプは「ブローホール」,肉厚中に存在するタイプは「ひけ巣」,として以下回答します.  「ブローホール」は,金型内表面や型内面に塗布された塗型の水分が,溶湯が注ぎ込まれることで気化( […]

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鋳鉄(3.3%C, 2.7%Si)では,凝固収縮量が-0.9%であるのに,凝固時に体積が膨張します.その理由を教えてください.

 鋳鉄の場合,比重が7.0から7.3g/cm3の溶湯から約2.0g/cm3の黒鉛が晶出します. つまり,鋳鉄では黒鉛晶出による体積の増加があるので,基地(鉄)が凝固時に収縮しても,それを上回る程度の膨張があり,体積が膨張 […]

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鉄に疲労亀裂が発生するとき,表面と内部で亀裂の進展に差が生じることがあるのはなぜですか?

 板材に均等な力がかかっている場合,疲労亀裂は理論的には一様に進展するに思われますが,様々な要因の影響で一様には進展しません.その要因としては,力学的要因,組織的要因,機械的要因の3つが考えられます.  まず,力学的要因 […]

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自動車のマルチマテリアル化が進んでいますが,鉄系鋳造材料の利用が必須である部品はありますか.

 近年,カーボンニュートラルのための方策が検討され,自動車では,電動化とともに,軽量化が大きな課題となっています.軽量化のためには,軽量材料に材料置換をしていくということも重要な方策となり,高密度の鉄系の材料は減少してい […]

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JIS規格の材料記号における数字は,機械構造用炭素鋼は含有される炭素量で表示されますが,鋳鉄や鋳鋼では何故引張強さで表示されるのでしょうか.例えば,FC200を作製して,引張強さが250MPa以上あった場合は,FC250と称しても問題ないのでしょうか.

 材料のJIS規格は材質(性質)の規格と化学成分の規格に大別されます.例えば,炭素鋼では機械構造用炭素鋼(S[炭素量×100]C材)や炭素工具鋼(SK[炭素量×100]材)は前者であり,一般構造用圧延鋼(SS材)は後者で […]

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研究室レベルでの実験において,鉄系材料を合金化する際に,どのような工夫がありますか? 溶けにくい高融点金属を効率よく溶かす工夫等を知りたいです. なお,黒鉛のように浮上しやすいものは,半紙やアルミホイールに包んで,鋳型底部にセットして溶かすと聞いたことがあります.

鉄系材料を合金化するために添加する元素はFeと比較して融点が高いものが多く,純金属のまま溶湯内に添加すると,酸化性の強い金属は表面に生成する酸化物相により溶解の進行が妨げられ,溶け残りが発生して目標組成に達しないことが起 […]

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光学顕微鏡を用いて明瞭なFe-C系合金組織(フェライト,パーライト,セメンタイト,レイデブライト,マルテンサイト等)を観察するためには,どのような腐食液を用いるとよいのでしょうか?

 Fe-C系合金の組織観察に用いられる代表的な腐食液として,「ナイタール」と「ピクラール」があります.  ナイタールは,1.5mlの硝酸(比重d=1.42g/ml)を100mlのアルコール(メタノール,又はエタノール)に […]

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鋳鋼, 鋳鉄について, 液相線温度よりどれくらい高い温度から鋳込むのが適当ですか.また, 鋳込み温度を液相線直上の温度から高くして行くと, 組織はどう変化していくのですか.

 下にFe-Cの状態図を示します. 例えば, 共晶成分を狙う球状黒鉛鋳鉄の場合は, 大物では1153℃より100℃高い1250±30℃付近を狙います. 小物では, 湯流れ等の関係から液相線より250℃高い1400±30℃ […]

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オーステナイトではFe原子間距離が広くなってC原子が移動することができますが,セルとセルとの結晶粒界を越えて移動することはできますか?

 「セル境界でも結晶粒界でもC原子が移動できるか?」との事であれば,Yesです.  凝固後の温度低下で共析変態温度に達するまでにAGr線(Fe-C二元平衡複状態図のFe-G系)に沿ってγ中のC固溶度が低下し共析変態でγ⇒ […]

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鉄系材料では,フェライト,オーステナイト,ベイナイト,マルテンサイトなどの組織の違いによって,どれくらいビッカース硬さやロックウェル硬さに違いがあるのでしょうか.

鋳鉄の基地組織は,フェライト,オーステナイト,パーライト,ベイナイト,マルテンサイトの順に硬くなります.材料の硬さは,それぞれの組織構成で異なりますが,フェライトのブリネル硬さは90~150HB程度,パーライトのブリネル […]

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