
学会表彰のひとつである「日下賞」は,今後の活躍が期待される若手の研究者・技術者に贈られる賞です. 2025年度に受賞された方々の研究内容や今後の目標等を紹介するシリーズの第2回目は北光金属工業株式会社の千葉雅則さんです.
みなさま,こんにちは.北光金属工業株式会社の千葉と申します.この度は,日下賞という栄えある賞を頂き,身に余る光栄に存じます.さらにはYFEだよりを執筆させていただくことになり,大変うれしく思います.
私が鋳造業界に携わるきっかけとなったのは地元の岩手大学に学部生として在籍していた時代に4年生の研究室配属で平塚先生,当時技術職員をされていた小綿先生に出会い卒業研究を通してご指導いただいたのがきっかけとなります.岩手県は昔から水沢の南部鉄器など鋳物が盛んな県という事もあり,幼い時から耳にする機会が多く,私が大学に入学した頃に鋳造技術を専門に学ぶ「金型・鋳造工学専攻」が新設されたことで関連する研究室に在籍したいという思いから当時平塚研究室を強く希望したのを今でも覚えています.
私の卒業研究では,2010年に中国のレアアースの輸出規制が強化され鋳鉄製造で重要となるレアアースの供給を心配する声が高まっていたこともあり,レアアースレスでの鋳鉄製造も多く検討される中で当時ミッシュメタル中の元素で比較的安価で他分野で需要の低い「Ce,La」に着目し,薄肉球状黒鉛鋳鉄への影響をメインに研究を行っておりました.

図1 社内IoTメンバー
Ce,Laを単独及び複合で添加した際の組織及び機械的性質への影響,黒鉛粒数の増加機構について研究を進めて行き,修士課程時代に札幌開催の全国講演大会へ講演参加したのが現在まで続く学会活動のスタートとなりました.
社会人となり現在の会社に入社した当初は生産技術課に所属し,岩手大学様,秋田県産業技術センター様と共同で研究を行っていたサポイン事業を通して「土木・建築」分野での採用を目指し,非磁性体で超低温環境下でも使用可能な高強度オーステナイト系球状黒鉛鋳鉄の研究開発をおこない,一般的な球状黒鉛鋳鉄では発生しないレベルの多種多様な不良発生に戸惑いながらも学生の頃以上に鋳鉄の面白さを強く感じるようになっていきました.現在は,品質保証部に所属しながら鋳鉄製造技術のみではなく鋳造工場の生産性の安定化・設備保全業務の省人化を目標にIoT技術内製化による製造設備の故障予測システムの立ち上げを他のメンバーと共に進め,研究成果について一部鋳造工学会の場にて報告させて頂いております(図1). 全国の中で最も人口減少率が高く,労働者不足が深刻となっていく秋田県において省人化への取り組みは今後重要となってくると感じておりますので他の工程も含めてIoT技術内製化に引き続き取り組んでいきたいと考えております.
支部での活動につきましても前任の方より御指名頂き,数年前より東北支部YFEの会長を担当しており,特に若者の鋳物離れが加速していく中で少しでも興味を持ってもらい,有益な会を開催できるよう努めておりますが,まだまだ東北支部の諸先輩方に助けて頂きながらの運営となっているのが現状となります.今後若手の学会メンバーが増えていくよう継続して活動を続けて参ります.
最後となりますが,鋳鉄の面白さを初めて教えて頂いた岩手大学の先生方,鋳造工学会を通して出会った皆様,この度日下賞に推薦してくださった東北支部の皆様,そして職場の皆様など多くの方に御指導頂き今回の日下賞受賞に至りました.改めて御礼申し上げます.この賞に恥じないよう鋳造分野の発展に微力ながら貢献できるよう今後も精進して参ります.今後ともご指導の程よろしくお願い致します.
連絡先
北光金属工業株式会社
千葉 雅則
〒010-1601 秋田県秋田市向浜一丁目7番1号
TEL:018-863-0004
E-Mail:chiba(at)hokkoo.co.jp*(at)を@に変換してください.
