九州支部でのYFE活動は,「子供いもの教室」と「学生工場見学会」をそれぞれ年に1回ずつ行っています.今回は久留米工業高等専門学校で実施された「一日体験入学」における鋳造体験について報告します.

久留米工業高等専門学校では,中学生を対象とした「一日体験入学」を毎年夏季に開催しており,各学科が特色ある体験型プログラムを提供しています.昨年度は8月19日および20日の2日間にわたり開催され,材料システム工学科のブースには両日合わせて約400名の中学生が来場しました.参加者の多くは進路選択を控えた中学3年生であり,進学先としての高専や専門分野への関心が高い様子がうかがえました.

 本ブースでは,低融点金属を用いた鋳造体験を実施しました.まず教員および在校生が材料工学や鋳造の基礎について簡単に説明し,その後,中学生自身に小麦粉を用いた鋳型づくりを行ってもらいました.柔らかい材料を使って自由に形を作る工程は直感的で取り組みやすく,多くの参加者が楽しそうに試行錯誤しながら型を作製していました.鋳型完成後は,スタッフが溶融金属を注湯し,凝固・冷却を経て鋳物を取り出す一連のプロセスを体験してもらいました.

 特に印象的であったのは,溶融金属を初めて目にした際の反応であり,「おーっ」という驚きの声が各所で上がっていました.普段目にすることのない高温の液体金属が固体へと変化する様子は,中学生にとって強い印象を与えたようです.また,鋳型づくりの段階から積極的に取り組む姿勢が見られ,完成した鋳物を手にした際には満足そうな表情を浮かべていました.

 さらに体験の合間には,「材料システム工学科ではどのような勉強をするのか」といった質問も寄せられ,単なる体験にとどまらず,将来の進路選択を意識した関心の高さが感じられました.在校生との対話を通じて,高専での学びや研究の具体像を知る機会となった点も,本企画の重要な意義であると考えられます.

(教員による鋳造の説明と,中学生による鋳型作製・鋳造体験の様子)

図. 一日体験入学における鋳造体験の様子

 

 

 

 

 

 

 

 例年,本体験入学に参加した学生が実際に入学するケースも多く,今回のような体験型プログラムが材料工学・鋳造への興味喚起に寄与していると考えられます.鋳造という「溶かして固める」シンプルでありながら本質的な現象を実体験として提供することは,若い世代にものづくりの魅力を伝える上で非常に有効です.今後もこのような活動を継続し,材料工学・鋳造分野への理解と関心のさらなる向上につなげていきたいと考えています.

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(公社)日本鋳造工学会 九州支部YFE
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