Vol.92No.12 北陸支部YFEの活動紹介

本年は新型コロナウィルスの影響により, ほとんど活動が中止となりましたが, 9月に行いました活動についてご紹介いたします.

 

 9月28日,29日の2日間にわたって,鋳造関係の業務に携わっている技術スタッフ,現場技能者を対象に,石川県工業試験場で鋳造初級講座が開催されました.この講座は,鋳造用語や鋳造の基本についてできるだけわかりやすく教え,鋳造工程全体を一通り理解できるようにするとともに,業務上必要な知識である安全や品質管理の基本を学べるようにしたもので,今年は石川県工業試験場の共催を頂いて開催しました.

 コロナ禍の渦中であるため,当初はWebでの開催も検討されましたが,対面形式の方が受講生が理解しやすいとの考えから,石川県工業試験場の会議室を借りての開催となりました.昨年の参加者は40名でしたが, コロナ対策をしっかり行うとの観点から今年度は募集人員を絞り,結果として受講者18名となりました.受講にあたっては,受付で非接触式自動検温システムを用いた体温測定,アルコール消毒,マスクの着用を徹底した他,講義室ではソーシャルディスタンスを確保するため座席間に1席を空けて受講者の間隔を確保し,窓を開けて換気対策をするなど,コロナ感染症対策を徹底して行いました.また,昨年は,工場見学などを行いましたが,受け入れ工場側にご迷惑がかかるとの配慮から,工場見学は行いませんでした.

図1 鋳造初級講座の講義風景

 講義については,各講師が受講生の理解度を上げるために様々な工夫を凝らし,講師自身の多くの経験から様々な事例を話したことも手伝って,「鋳造の工程を2日間の講義で学べて,内容が濃かった」との意見が多く寄せられました.また,鋳造工程の講義だけではなく, 「安全管理の基礎」「品質管理の基礎」の講義は昨年以上に役立ち度が高くなりました.特に安全管理の講義では,細かく丁寧な熱中症の対応策や指差呼称の練習,人工呼吸の練習など, 現場ですぐに役にたつ講義を行ったこともあり,大変好評でした.
 ただ, 「鋳造のイメージを全体的に知ることが出来て良かった」「見方がよく分からなかったFe-C平衡状態図が少し分かるようになった」という声があった一方,1講義1時間という時間設定のせいもあり「時間が足りず足早になっている内容もあるのでその部分が理解が追いつかず残念であった」という声もありました.この鋳造初級講座は,昨年初めて開講された講座なので,アフターコロナの講座のあり方も含め,受講者の声を活かしながら改善していきたいと考えています.

図2 指差呼称の練習風景

 コロナウィルス感染症の発生状況の見極めもあり,昨年より2ヶ月遅い開催となってしまいましたが,石川,富山の両県から参加していただき,質疑も活発に行われたので,大変有意義な講座とすることができました.工夫を凝らして講義をしてくださった講師の先生方にはこの場を借りて感謝の意を表したいと思います.

 

 

連絡先

(公社)日本鋳造工学会 北陸支部YFE
株式会社高岡製作所 奈部 潤弥
〒933-0351 富山県高岡市四日市123-14
TEL:0766-31-5455
E-mail:nabe-junya(at)takaoka-ss.co.jp
*(at)を@に変えて送信ください.