Vol.92No.9 北海道支部YFE活動の紹介

北海道支部YFEでは,若手技術者の研修と子供向けの鋳物PR活動,理系学生応援プロジェクトを行っています.今回は,2019年7月27日(土),28日(日)に実施しました理系学生応援PJ~ものづくりキャラバン2019~についてご報告致します.

ものづくりキャラバンの講義,実習の様子

○北海道支部YEF委員長交代

 旭川工業高等専門学校の堀川先生が北海道支部のYFE委員長を務めてきましたが,今年5月より,室蘭工業大学の楠本に交代となりました.今後とも変わらぬご指導を賜りますようよろしくお願い申し上げます.

○理系学生応援プロジェクト

 本プロジェクトは,北海道が全国に先駆けて行った活動であり,今では全国展開されています.北海道支部において,第1回(平成25年)から第11回(平成30年)までは,1泊2日の日程で開催しておりました.しかし,参加校数や人数の制限があり,希望者が多く全員が参加できない状況でした.これら学生の要望に応えるため,第13回(2019年度)からは「ものづくりキャラバン」として活動を広げました.

 2019年7月27日(土)は,市立札幌清田高等学校にて30名の学生,翌日の28日(日)は市立札幌新川高等学校にて19名の学生にご参加いただきました.これまでの参加者の合計は279名となりましたことをご報告いたします.

 まず,ものづくりに関する歴史や身近にあるものづくり製品を学ぶ講義を行いました.講習で学んだものづくりの基礎となる「鋳造」に関して,実際に実習で体験しました.鋳造はみなさんもご存知の通り,型を砂などに転写し,型を取り除いた空間に,鉄などの溶けた金属を流し入れる作業です.北海道ではお馴染みの市町村マークであるカントリーサインを型として,砂型を製作し,ホワイトメタルを流込み,ペーパーウェイト(文鎮)を作りました.体験学習を通して,様々なものづくりに興味を持ち体験して,魅力を発見することで理系進学の決め手になればと思います.

 はじめに「外観検査のAI適用時のポイントと事例の紹介」と題して(株)シーイーシーの久保田進也様に,外観検査をDeep Learning(深層学習)によって画像検査で行う際の判定精度や適用事例について講演していただきました.2件目として,(株)IDAJの西田青示様から「最適化modeFRONTIERと各種の最適化手法・理論と取り扱い方」のご講演がありました.各種最適化手法と鋳造分野への適用としてADSTEFANでのダイカスト湯流れ条件最適化事例が紹介されました.3件目に(株)日立産業制御ソリューションズの平田直哉様から「鋳造CAEの紹介と今後の展望」と題してADSTEFANにて評価可能な各種欠陥予測手法の説明と粒子法による鋳造解析事例が紹介されました.

 今年度は名古屋での全国講演大会が中止となり,展示会場で開催予定であった子供いもの教室が,残念ながら見送りとなりました.ただし,用意した型などは来年度以降の子供いもの教室で活用して行く予定です.

 

○おわりに

 今後も「ものづくり教室」の活動を一層広めていき,その充実と発展に向けて,これまでの経験と成果を活かして鋳造の広報に努めて参ります.

 最後に,今年度の若手技術者に対する研修会がCOVID-19感染拡大防止の観点から中止となりました.また,全国講演大会(室蘭)およびInternational Symposium on the Science and Processing of Cast Iron (SPCI)が来年に延期となり,これらの大会に合わせたサイエンスウィークの企画も延期となりました.開催可否が不透明ではございますが,開催に向けて,万全の準備をして皆様のご参加をお待ちしております.

連絡先

(公社)日本鋳造工学会 北海道支部YFE
 楠本 賢太
 〒050-8585 北海道室蘭市水元町27-1
 室蘭工業大学
 E-mail: kusumoto(a)mmm.muroran-it.ac.jp *(a)を@に変えてください.