Vol.93No.1 日下賞受賞者紹介(1) 秋田大学 後藤育壮さん

学会表彰のひとつである「日下賞」は,今後の活躍が期待される若手の研究者・技術者に贈られる賞で,例年春の全国講演大会で開催されるYFE大会で受賞者の紹介と記念講演を行っています.今年度は残念ながら大会が中止となり紹介の機会がありませんでしたので,YFEだよりを通じて受賞者の皆さんに研究内容や今後の目標などを伺うことにいたしました.第1回目は秋田大学の後藤先生です.

 

皆さん,こんにちは! 秋田大学の後藤と申します.身に余る光栄な賞をいただいた上に,YFEだよりを執筆させていただくことになり,恐々縮々ではございますが,小さい頃は「いっくん」と呼ばれたりしていたこともあったので,このページの右上にいる“いっくん”には他人とは思えないような親しみを感じています.また,自己紹介の際には事あるごとに「“チュウゾウ”やってる“イクゾウ”です!」,等と言ったりしているせいか(?),同じく右上にいらっしゃる“のびぞう”博士にもかなりの親近感を覚えます.ちなみに,“吉幾三”と同じ,青森県の津軽地方出身なのですが,かつては“いくぞうハウス”なるものがあったそうで(Wikipedia参照),一度行ってみたかったと今になって思います.さらに余談ですが,テレビから“SH○APのIGZOは…”という声が聞こえてきた時には,呼ばれたような気がして体が反応しました(笑).

図1 下から上へ指向性凝固させた純銅鋳物のマクロ組織 (上の方から沈んできたデンドライトを起点に結晶粒が生成しているような様子が興味深い)

前置きが長くなり過ぎましたが,鍛造ではなく,転造でもなく,鋳造に関わり始めてから,早いもので15年が経とうとしています.在学中のダイカスト用ソルト中子の研究に始まり,進学後は,セラミックスを鋳ぐるんだ純アルミニウム鋳物に関する研究や,ダイカスト工場での長期インターンシップにも取り組ませていただきました.仙台在住中は“鋳物”と“芋煮”の紛らわしさを度々感じてはいましたが(?),特に純金属鋳物とは縁があったようで,秋田に来てからは,鋳造が難しいと言われている純銅の研究に携わる機会をいただきました(1参照).その一方で,純アルミ鋳物に関する研究も継続させていただいているので,実験中の学生に「(調子は)どう?」等と尋ねて,「アルミです!」と言われないように気を付けたいと思います(?).純金属鋳物以外にも,鋳鉄・鋳鋼の鋳造欠陥の低減や,アルミニウム合金溶湯中での鉄鋼材料の溶損メカニズム,鋳造シミュレーションの各種活用等に関する研究にも取り組んできました.こういった内容に関するお問い合わせも大歓迎ですので,このページの右下の連絡先にお気軽にご連絡ください! また,最近は,セラミックスの圧粉体の“鋳ぐるみ焼結接合”にもチャレンジしているところですが,なかなかうまくできていません(第176回全国講演大会講演概要参照).ご助言や叱咤激励等も右下の連絡先にお寄せいただけますと幸いです(笑).のびぞう博士もおっしゃっているように,今後も新しいことにチャレンジしながら,微力ながら,何かと縁のある鋳造業界のお役に立てればと思います(2参照).

図2 東北の芋煮,ではなく,東北からの鋳物によるイノベーションを,というイメージ (学会のマークを入れ込んでみました)

 

 

プロフィール

 名 前: 後藤 育壮
 所 属: 秋田大学 大学院理工学研究科 物質科学専攻 材料理工学コース
 所在地: 〒010-0825 秋田市手形学園町1-1
 E-mail:  goto(a)gipc.akita-u.ac.jp *(a)を@に変えてください.