Vol.93No.8 鋳造方案勉強会の開催報告
今回は,昨年11〜12月2に開催された鋳造方案勉強会の開催ついてご報告いたします.
2020年4月からのコロナ禍による緊急事態宣言は,YFEの活動を大きく制限しました.関東支部でも例年行っていた対面による行事は出来ないことから,「鋳造コンテスト」をオンライン上で開催できないかとの提案がありました.関東支部・茂泉様の企画の提案で,鋳造方案設計ソフトウェア(AnyDESIGN)と鋳造解析ソフトウェア(AnyCasting)を使用することで準備が始められました.オンラインの特性上,コンテストによる形式は難しいとの判断から,「鋳造方案勉強会」と題して,早稲田大学・吉田研究室,東京都市大学・白木研究室の大学院生・学生さんが2チームずつ参加しました.これまでの「学生鋳物コンテスト」では,参加した学生さんから正解はどうだったのか知りたいという要望も挙がっておりました.そこで,鋳造方案設計の基礎から学び,実際に方案設計を発表し,その成果を専門家の視点から評価頂く事で,方案設計及び鋳造CAEを経験すると共に,企業で活躍するYFE委員が考える方案設計と比較,さらに自身の方案設計への講評を受けることで,方案設計を基礎から学ぶオンライン勉強会を開催致しました.
2020年11月10日(火)午前に日産自動車の神戸洋史氏より「鋳造とは何か」,「鋳造法の種類」,「鋳造方案とは何か」という内容で鋳造方案設計の基礎について講義して頂き,午後はAnyCasting softwareのキム・ソギョン氏より鋳造方案設計ソフトウェアを用いて方案設計の基礎とその操作方法の講習を行いました.翌日は,同社のイム・ヤンフン氏より鋳造解析ソフトウェアを用いCAE解析の基礎とその操作方法の講習を行いました.図1に示す様なオイルパンを模擬した製品を課題に,各チームで鋳造方案を検討し,CAE解析結果を基に設計した鋳造方案の発表会を行いました(図2).企業で活躍するYFE委員として,齋藤侑里子氏(IHI),古屋毅文氏(サンデンオートモーティブ),本橋直恭氏(本田金属)の3名にも同じ課題に取り組んで頂き,各自で設計した鋳造方案の概要とコンセプトについて発表致しました.最後に専門家の視点から神戸洋史氏(日産自動車),井田雅也氏(日野自動車),森田茂隆氏(森田技術士事務所)より講評を頂きました.
学生さんは,鋳造方案の設計,CAE解析も初めての体験でしたが,現代の学生さんにはソフトウェアを使用すること自体は大きなハードルではなく,自在に操作しておりました.年末卒業研究の傍らで課題を取り組んだので,方案設計,解析に思うような時間が取れず,数多くのモデルを試すことは出来ませんでしたが,方案の違いによって,様々な影響があることを体験できる大変良い機会でした.また,YFE委員の設計した方案およびそのコンセプトを聴講し,方案設計の難しさやアプローチ方法の違い等,鋳造の奥深さをオンラインでも実感出来たようです.
最後にこの鋳造方案勉強会の開催に際し,ご協力,ご参加頂きました方々に深く感謝申し上げます.
連絡先
(公社)日本鋳造工学会 関東支部YFE
東京都市大学 白木尚人
〒158-8557 東京都世田谷区玉堤1-28-1
TEL: 03-5707-0104
E-mail : nshiraki(at)tcu.ac.jp
*(at)を@に変えて送信ください.