九州支部でのYFE活動は,「子供いもの教室」と「学生工場見学会」をそれぞれ年に1回ずつおこなっています.今回は久留米工業高等専門学校にて行われた低融点合金を用いた鋳造体験会について報告します.

 気温が37℃になろうかという連日の猛暑日の中,久留米高専の体験入学イベント「令和5年度一日体験入学」が8月19-20日の2日間にわたって開催されました.高専への入学を検討する中学生たちが対象です.同高専は全部で5つの学科で構成されており,各学科が趣向を凝らせたイベントを行います.材料システム工学科では実験体験の一つとして,低融点合金(Sn-Bi)を用いた鋳造体験を提供しました.本年度の鋳造体験では砂を用いずに水で練った小麦粉を利用しました(これだと家庭でもできそうですね).高専生による説明(図1に続いて,見学生徒自ら練りあげて適度な固さになった小麦粉に,キャラクターの模型や貝殻などを押し付けて型取りをしてもらいます.この時点ではこの後どうなるのか,本当にきれいにできあがるのか,想像できない様子です.そこへ高専生が融けた合金を注湯します.固まって冷えるまで不安な様子ですが,取り出した鋳物(図2を見て大満足の様子.「溶けた金属なんて見たことなかった!溶けるんだ???」という素直な感想がちらほら.中学校でも習う水の状態変化を例にした高専生の説明を聞くと納得していました.また,「え,こんなにキレイにできるんだ?」と素直に驚く中学生も多かったです.なかには「どうして金属を混ぜると融点が下がるのですか?」という鋭い質問も飛び出し,高専生が答えるのに苦労する一幕もありました.
 このような一連の実験を1回当たり10名程の中学生を受入れて1日で12回(!?),それを2日間行ったということで,延べ240名程を対応された材料システム工学科の4名の高専生や山本先生(九州支部長)はさぞかし大変だったことと思います(暑さもあります!).このような中学生を対象とした実験あるいは鋳造の啓蒙活動の一方で,先生役となった高専生達の鋳造への理解・興味が高まることを期待しています.
 久留米高専材料システム工学科では,10月には砂と発泡スチロール(消失型)を用いてフルモールド法でアルミニウムを鋳込む、より本格的な鋳造体験を計画しているとのことです.ますます鋳造に興味を持つ子供たちが増えるといいですね.

図1 高専生による鋳造についての説明の様子

図2 中学生による思い思いの鋳造品

 

【連絡先】
(公社)日本鋳造工学会 九州支部YFE
森下 浩平
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TEL:092-802-2956
E-mail:morishita.kohei.853(at)m.kyushu-u.ac.jp
*(at)を@に変えて送信ください.