Vol.87 No.10 九州支部「いもの体験講座レポート」
YFEだより第3回は,九州支部からです.
今回は,九州支部で行われたいもの体験講座及び右上に描かれているYFEキャラクター(いっくん,のびぞう,ももちゃん)を作成された九州大学の宮原先生へのミニインタビューをお伝えします.
一日体験講座「金属を溶かして青銅鏡を作製してみよう」
一日体験講座「金属を溶かして青銅鏡を作製してみよう」が,7月29,30日久留米市近隣から抽選で選ばれた20名の中学生を対象に久留米高専で開催されました.
まずは,材料となる青銅の話,鋳物の話,鋳造や青銅鏡の歴史など,少し難しい講義を受けて頂きました.参加者の皆さんは,状態図を眺めながら講義を真剣に聞いています.その後,CO2鋳型を用いた砂型作りを行いました.事前に用意していた青銅鏡のミニチュア模型を利用しましたが,型抜きがなかなかうまくいかず,スタッフに手伝ってもらいながら頑張ります.
ほとんどの参加者が初めて溶湯を見るとのことでしたが,溶けた金属を鋳型に鋳込んでもらう時の心配そうな表情が印象的でした.また,型ばらしでは,できた作品に,わーっと歓声が上がります.その後は,耐水ペーパーとバフを用いて,鏡面になるまで研磨します.なかなかきれいな平面にならないので,スタッフに手伝ってもらって2時間程度ひたすら磨いていきます.
最後は鏡面になった青銅鏡で自分の顔を映して「はい,ポーズ!!」で終了となりました.「青銅鏡って本当に鏡になるんだ」,「模型の模様がそのまま製品になるとは思わなかった」,「もっと大きい鏡を作ってみたい」などいろいろな感想を頂き,自分の作品を持ち帰って頂きました.今回の青銅鏡製作で貴重なものづくり体験をして頂けたと思います.
この場をお借りして,参加者の皆さん,スタッフの方々に御礼を申し上げます.
宮原先生ミニインタビュー
YFE(以下:Y)「まず最初に,描かれたキャラクターの名前を教えてください」
宮原先生(以下:宮)「逸生で“いっくん”,桃香で“ももちゃん”,“のびぞう”です.特徴的なひげがあるのびぞうの別名が“いもの博士“です.三人の名前はやっぱり,“い・も・の”と付いた方がいいだろうと思って,最初は“イチロー”とか“いがた”などいろいろ考えたのですが,最後は字画占いで決めました」
Y「子供二人はのびぞうの子供ではないのですか?」
宮「違います.設定が細かいんですが,子供たちはそれぞれが三人兄弟(姉妹)です.ひょっとしたら,お兄さんとか新しいキャラクターがもっと増えるかもしれません.まだ,考えている途中だけど(笑)」
Y「このキャラクターを作るきっかけは何だったのですか?」
宮「数年前に小学生を対象としたいもの教室を開催した時に,子供達はできた作品はもとより,持ち帰ってもらうためのおみやげ袋に貼ってあったシールに興味を持つことを発見しまして.その時に興味を持ってもらうためには,教室の中身も大切だけど,それ以外の事も大事で,キャラクターみたいな絵があった方が目を向けてくれるのではないかと思って.それで,当時小学生だった娘の意見も聞いたらキャラクターはあった方がいいと」
Y「それで,実際描かれたのですか?」
宮「娘に相談してアイディアをもらい,デッサンから描き始めて1週間ぐらいかかりました.長崎で行ったYFE子供いもの教室の時にこのキャラクターを出したら,子供達だけでなく保護者の方々も「このキャラクターの名前は何?」と,興味を持って頂いたので活躍したのではないかと思います.YFEのキャラクターになったのはとても恥ずかしいけど,鋳造に子供達が興味を示してくれたり,社会に普及するのであれば,頑張って描きます.まんがで分かるいもの講座とか(笑)」
Y「最後にYFEの活動に関して一言」
宮「YFEは子供いもの教室など社会への普及に頑張っているけど,それをどう中,高,大学生にまで繋いでいくかという,年齢に応じたプログラムを考えなければならないと思います.また,YFE会員に対して勉強会や皆で議論できるような企画がもっと必要なのではないでしょうか」
連絡先
(公社)日本鋳造工学会九州支部YFE 山本 郁
〒830-8555 福岡県久留米市小森野1−1−1