鉄
球状黒鉛鋳鉄用Y型供試材(Yブロック)の平行部から切り出した試験片の 機械的性質(引張強さ,伸びや疲労強度)は,切り出す位置で差が出ますか?
鋳鉄の機械的・物理的性質は,黒鉛形状と基地組織に依存しています.球状 黒鉛鋳鉄品の機械的性質は,JIS規格(JISG5502)のY型供試材の平行部であれば,JIS規格(引張強さ,伸び,衝撃値)の範囲ではどの位置から切出し […]
チルと引け巣との関係を教えてください
引け巣もチル(遊離セメンタイト)も凝固完了までに発生します.チルが出ると引け巣が出やすくなります.「どうしてか?」を以下に説明します. 鋳鉄の溶湯は,溶媒が鉄で溶質が炭素の溶液です.溶液の温度が低下すると溶質の溶解度が下 […]
なぜ鋳鉄は鋼に比べ,錆が進行しにくいのでしょうか?
鉄は水に接すると鉄イオン(Fe2+)となります.そして,水中の水酸化イオン(OH-)と反応すると水酸 化第一鉄(Fe(OH)2)ができ,さらに酸化が進行すると水酸化第二鉄(Fe(OH)3)が出来ます.これがいわゆる赤錆と […]
鋳鉄の成長とはどういう現象でしょうか.何故発生するのでしょうか.
鋳鉄に加熱・冷却を繰り返すと鋳鉄寸法が少しずつ大きくなる現象を鋳鉄の成長(生長)と云います. 片状黒鉛鋳鉄の寸法変化の方が大きいですが,球状黒鉛で も起こります.鋳鉄を加熱した後に元の温度に戻しても鋳物寸法は元に戻ること […]
共晶時のチル(共晶セメンタイト)とパーライトを構成するセメンタイトは同じものなのですか?
同じと思って良いと思います. 図は,鉄セメンタイト系状態図を模式的に表した物です.オーステナイトが冷却されていくと,フェライトとセメンタイトの2相に変化します.この時は,すべて固体なので,炭素原子も拡散しにくい状態になっ […]
球状黒鉛鋳鉄のヤング率は何GPaですかと聞かれました.これはどんな時に必要で,その値も教えて下さい.
球状黒鉛鋳鉄のヤング率(縦弾性係数)は片状黒鉛鋳鉄の80〜130GPaに比べて大きい値であり,140〜170GPaの範囲にあると言われてい ます. 一般に鋼のヤング率は200〜210GPaなので,球状黒鉛鋳鉄は鋼の約70 […]
FC200をある一定も応力で引張り続けた場合,徐々に亀裂が進展する ことはありますか? また,繰り返し疲労は起こりますか?
まず,FC200をある一定応力で引張続けた場合ですが,応力値が引張強さの60%以下等の応力範囲ならば,そのようなことは常温では起こらない.というのが一般的了解です. 次に,繰り返し疲労は起こりますか? ということですが, […]
鋳鉄にはどのような種類が存在して,どのように使い分けをしているのでしょうか?(質問者:LICCA)
鋳鉄の分類は,鋼に対する広義的な場合の鋳鉄という分類のほか,狭い意味で鋳鉄と呼ぶ場合は可鍛鋳鉄や球状黒鉛鋳鉄などに対して,単にねずみ鋳鉄(片状黒鉛鋳鉄)を指すことが多いです.表1に古い図書に載っている分類例を示します. […]