片状黒鉛鋳鉄の引張りと圧縮の機械的特性は,どう違いますか?また,疲労試験において圧縮成分を含む試験を行った場合(応力比R<0),注意するべき点はありますか?

引張強さは鋳鉄の材質を表わす目安となっていることはご存じかと思います. JIS G 5501ではねずみ鋳鉄(片状黒鉛鋳鉄)の引張強さは,100〜350MPaとなっています. 圧縮試験は引張試験ほど頻繁には行われませんが, […]

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鋳鉄の溶湯処理で,フラックス処理・接種処理・球状化処理は同時にやらないのは何故ですか?

それぞれの処理に以下のような役割があり,同時処理ではそれぞれの効果が十分に発揮できないからです.また,処理効果は経時変化により減衰していく(フェーディングする)ものです.処理時間の経過で質が変化するという点では,鋳鉄溶湯 […]

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鋳鉄のインモールド法とコンバータ法を比較すると製品の特性に差がでますか?

【コンバーター法】 は,コンバータの底部の一角に孔の開けられた黒鉛製の仕切り板で囲まれた反応室を設置し,コンバータを水平状に倒した状態で,反応室にMgを装入して蓋を します. その後,反応室を下にして垂直に起こすことで, […]

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鋳鉄の引張り試験を行ったとき、明瞭な降伏(弾性限)が認められないのはなぜですか?

金属の塑性変形は,特定の結晶面を原子がすべることによって起こります. すべりは転位が動くことによって生じます.転位が何らかの理由により固着さ れて,すべりが困難なとき明瞭な降伏点が認められます.たとえば,軟鋼の場合,炭素 […]

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鋳鉄の引け巣試験をしたいと思っていますが、試験片の形状について教えてください.

一般に,「鋳鉄ではひけ巣は発生しない」としていますが,実際にはひけ巣が問題となることがあり,これに関する研究報告も数多く発表されています. 引け性の実験には,アルミニウム系では円錐形の試験片を用いたりしているようですが, […]

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球状黒鉛鋳鉄の黒鉛はどうして球状になるのですか?

これまでのところ球状黒鉛鋳鉄の黒鉛がどのようにして球状になるのかについて統一された理論にまでには確立されていません. (i)核説(ii)過冷 説(iii)表面エネルギー説(iv)吸着説(v)転位説(vi)気泡説など,いく […]

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長時間保持された溶湯でつくられる鋳物は,化学組成が同じでも「チルが出やすい」,「引けが出やすい」のはなぜですか?

この問題を理解するためにはFe-C系平衡状態図を理解する必要があります. すなわち,Fe-C系状態図で黒鉛共晶温度Tec,白銑(チル)共晶温 度Tezはそれぞれ1154℃,1148℃といわれています.両者間の温度差⊿Tc […]

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ひけ巣は,どうして厚肉部や交差部の中心付近に出るのですか? その対処法は?

まずひけ巣が発生するメカニズムを考えます.鋳型に充填された溶湯は,温度の低下とともに液体収縮を起こします. 冷却が進んで凝固が始まると固体収 縮が起こりますので,足りない分の体積は液体側から補給することになります.凝固が […]

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電気誘導炉で溶かされた湯は原材料の成分に近いですが,キュポラの場合はC,P,Sなどが増えるのはなぜですか?

一般的に「誘導炉」には低周波,高周波という分け方と,るつぼ型,溝(チャンネル)型という分類があります.どちらにしても,容器の中に材料を入れて加熱 (厳密にはジュール熱,自己発熱)するもので,コップの中に水と塩を入れて温め […]

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ブローホール対策の一環として冷し金の適切な清掃や使用回数の設定/管理等が必要だと思いますが,なかなか情報がありません.冷し金の適切なメンテナンスについて教えてください.

確かに,“誰も聞かない,言わない”で,教科書的情報はありませんね.まず,冷やし金によるブローホールの発生原因から考えてはいかがでしょうか? ①冷やし金部位は溶湯が急冷されるために,溶湯表面の酸化被膜と共に空気も巻き込んで […]

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