令和8年5月22日から25日の日程で,第187回全国講演大会がライトキューブ宇都宮において開催されました.関東支部YFEでは,YFE大会として【第1部】鋳造技術基礎講座と【第2部】学生鋳物コンテスト2025発表会を実施しました.本稿ではその様子についてご報告します.

関東支部YFEでは,年間行事として小学生向けの鋳造体験である「子供いもの教室 (7月ころ) 」,鋳造に関わる企業や研究施設を見学する「施設見学会 (11月ころ) 」,若手技術者,研究者を対象とした鋳造関連技術の勉強会である「YFE勉強会 (年明けころ) 」を開催しています.2026年度は,第187回全国講演大会が宇都宮で開催されるにあたり,YFE大会を実施しました.本稿では,YFE大会の実施内容である鋳造技術基礎講座と学生鋳物コンテスト2025発表会についてご紹介します.

○鋳造技術基礎講座

今回のYFE大会では【第1部】鋳造技術基礎講座として,山梨大学の猿渡直洋先生に「アルミニウム合金鋳物と熱処理の基礎」と題した基調講演を行っていただきました.講演は,アルミニウムの特徴,アルミニウム合金の分類,アルミニウム鋳物製品とその合金といったアルミニウム合金鋳物の基礎中の基礎の部分から始まり,Si添加量と鋳造性の関係や凝固組織の形成過程等について解説されました.アルミニウム合金鋳物の熱処理に関しては,はじめにアルミニウム合金の時効析出現象を解説するとともに,代表的な熱処理型アルミニウム合金鋳物に形成される析出相についての説明がなされました.終盤では,限られた時間でしたが猿渡先生の研究紹介もあり,高周波誘導加熱装置を利用した溶体化処理の効率化に関してご紹介いただきました.講演のまとめとされた,「アルミニウム合金鋳物の熱処理に関する研究の目指す先が“熱処理を行わないこと”」というフレーズが聴講者の印象に残ったようでした.

○学生鋳物コンテスト2025発表会

図1 学生鋳物コンテストの作品を見る参加者の様子

【第2部】では,本部YFE主催の「学生鋳物コンテスト2025発表会」が行われました.2025年度は14チームがコンテストに参加しました.今回の課題は「スマホスタンド」であり,「2025」の鋳出文字や鋳造工学会の鋳出しマーク及び肉厚差のある形状に対して,各チームは品質と歩留まりの両立を目指して独自の方案を設計していました.2025年度の最優秀賞は室蘭工業大学(長船研究室)チームで,湯口を共有する2個取り方案,かつ湯口と押湯を兼用することによって高い歩留まりと品質の両立を実現したことが評価されました.第2位のものつくり大学チームは,明瞭な鋳出文字及びマークを実現するとともに仕上げやすい方案を設計した点が評価されました.第3位には,九州大学チーム,群馬工業高専チーム,大同大学チームが同率で選ばれました.また,各チームがCAEによる予測(湯流れ,ガス圧,欠陥等)と実鋳物の多角的な評価(外観,CT/3Dスキャン,カラーチェック等)を通じて,解析と実物の差異を深く議論していた姿が印象的でした.デジタルとリアルの双方からアプローチした今回の経験は,これから技術者や研究者として活躍していく上で,かけがえのない財産になるのではないでしょうか.

連絡先
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