鉄
「圧力容器(FC300)穴加工後の水圧検査で鋳肌面に微小な漏れが発生しました.原因としまして,どのようなことなどが考えられるでしょうか.また、黒鉛や粒界を介して圧漏れすることはあるのでしょうか.
漏れるということは内側と外側がつながった不良ということなので,考えられるのは割れや湯境、表面から見えにくい異物かみ(砂、ノロ)等の不良が考えられます.これらの不良は目視でよく見れば分かると思いますが,微小なものはわかりに […]
ねずみ鋳鉄FC200(JISG5501)で,別鋳込み供試材の規格がφ30に制定されているのは機械試験に使用するためでしょうか? 8B試験片にてφ20で鋳造し,φ12.5で引張試験を行うのは間違っていますか?
鋳鉄の引張強さは黒鉛量,炭素飽和度(Sc),肉厚などによって変化します.試験片の直径が小さい場合は,その鋳物の冷却速度が大きなり,引張強さは増大します.そこでJISなどでは,片状黒鉛鋳鉄の標準強さは直径30mmの試験の値 […]
鉄材の湯流れ性がCE値の違いで変化することを現場で経験しました.なぜでしょうか? また,湯流れ性は一般にどのように測定して判断するのでしょうか.
湯流れ性(流動性)は,鋳込温度が高くなれば凝固時間(流動寿命)が長くなり,その間に流れる距離も長くなります.過熱温度(=鋳込温度-液相温度)と流動性との間にほぼ直線関係が成り立つことが,実験的に確かめられています.鋳鉄の […]
球状黒鉛鋳鉄の黒鉛粒数や球状化率を測定する際に,15μm以下の小さい黒鉛は無視することになっています(JIS).15μmに決めた根拠は?
球状黒鉛鋳鉄について日本独自の黒鉛形状分類法と黒鉛球状化率の判定方法を定めた 記録が「鋳物40巻(1968)P296」に紹介されています.当時の日本鋳物協会特殊鋳鉄部会の10数回の委員会による審議の結果作成されたものです […]
FC(ねずみ鋳鉄)に,お酢などを使用して意図的に錆びさせてその錆を磨き,野菜クズなどを炒めて熱し,油を塗る(熱する・油を塗る工程は何度か行う)と,一度錆びさせたことで油の染込みが良くなって錆びにくくなるという効果は期待できるでしょうか?
「錆びにくくなるという効果」とありますので,最初に南部鉄瓶の防錆法について簡単に説明します.南部鉄瓶のお湯が入る内面の防錆は酸化皮膜で,模様のある外面は漆(うるし)の皮膜で防錆しています.内面の酸化皮膜(黒錆,Fe3O4 […]
成分分析装置もなく温度計もなかった古い時代に,鋳物師達はどうやって鋳鉄鋳物の溶湯性状を判断したのでしょうか.
昔の鋳鉄鋳物師達は,湯面模様によって溶湯性状を判断したと考えられます.キュポラ鋳鉄溶解では,溶湯性状が良くなるにつれて,湯面模様が笹の葉状から,麻の葉状,亀甲状へと変化していく事が知られています(図1の(a),(b),( […]
ヨーロッパでは30年前からワイヤー球状化処理が用いられていますが,日本では最近どうなっているのでしょうか?
日本でも近年,鋳鉄の球状化処理のためにワイヤー法が注目を集め,採用,または導入を検討する鋳物工場が増えています.それには下記の理由があると思います. 第一に『処理装置の発展』です.爆発的な球状化処理反応にも耐えうる装置が […]
CV鋳鉄はFC(片状黒鉛鋳鉄)とFCD(球状黒鉛鋳鉄)の両方の特性を持っていますが,あまり普及されていません.どうしてでしょうか?
FCVは,コンパクティッド・バーミキュラ鋳鉄(芋虫鋳鉄)と呼ばれ,高強度のFCD(ダクタイル鋳鉄)と被切削性に優れたFC(片状黒鉛鋳鉄)のイイトコ取りとして注目され,現在量産品では油圧バルブ,ディーゼルエンジンブロック […]
鋳鉄の溶湯の中から非金属の黒鉛が出現するのはどうしてですか.さらにオーステナイトからも黒鉛が現れるのはなぜですか? 教えてください
確かに不思議な現象ですね.謎解きは,昔習った理科の「溶液の勉強」で溶媒と溶質,飽和溶液と過飽和溶液,溶解と沈殿,溶解度などを思い出そう. 鋳鉄の溶湯とは,溶媒が液体の鉄で,溶質が主に炭素(C)とけい素(Si)の溶液と考 […]
鋳鉄を勉強すると出てくる鉄-炭素二元平衡状態図は、どんな時にどのように役立つのか?
状態図と熱力学のエリンガム図及び元素周期律表は、鋳造における3種の神器とも言われているものである.状態図はある化学組成と温度でどのような状態(相または組織)になるかを教えてくれる. Fe-C状態図(下図)は,他の合金の状 […]