令和6年5月24~27日の日程で,第183回全国講演大会が早稲田大学において開催されました.関東支部YFEでは,YFE大会としてYFE勉強会と学生鋳造方案勉強会発表会を企画・実施しました.ここではその様子をご報告いたします.

 関東支部YFEでは,年度行事として小学生向けの鋳造体験教室である「子ども鋳物教室(7月ころ)」,鋳造関連企業や公設試などを見学する「施設見学会(11月ころ)」,そして鋳造工学会誌との連動企画「もう一度詳しく聞きたい「鋳造工学」掲載QandA」を開催しております.また,2024年度は第183回全国講演大会が早稲田大学で開催されるにあたり,YFE大会を企画・実施しました.本報告では、YFE大会の実施内容である「YFE勉強会」「学生鋳造方案勉強会発表会」について,詳細をご紹介します.

〇YFE講演会

前回(第181回大会)YFE大会では,「いまさら聞けない○○の詳しいところ」と題し,EBSD(電子線後方散乱回折法)とXRD(X線回折法)の勉強会が開催されました.これが大変好評だったので,今回はYFE大会第一部として,CAE (Computer Aided Engineering)を題材とした勉強会を企画しました.

 まずは大同大学の前田先生に,「鋳造CAEの現状と課題」と題した基礎講座を実施いただきました.鋳造プロセスの基本的な物理現象である湯流れ・凝固に関する方程式の説明から,CAEの仕組み,そして実際のシミュレーション例までご紹介いただきました.加えて,実際の鋳造とシミュレーションの違い,現場でCAEを活用するための注意点まで具体的に説明いただき,今までなんとなくCAEを想像していた方にとっては,よりしっかりとした活用イメージができたのではないでしょうか.

 続いて株式会社コイワイの橘様より,鋳造CAEを用いた事例の紹介をいただきました.市販の鋳造CAEソフトウェアを用いるにあたり,どのような解析を行い,どのような欠陥をどのような観点で評価・活用しているか,またCAE活用において欠かせない「合わせこみ」の事例も紹介いただきました.近年,鋳造CAEを導入している会社は増えていますが,他社がどのように活用しているかは不透明な部分が多いかと思います.そのような中で,具体的な根拠に基づく活用方法は,大変参考になりました.

〇学生鋳造方案勉強会発表会

 

YFE大会第二部として,本部YFE委員会主催の「学生鋳造方案勉強会」の発表会を開催しました.今年度は12チームが参加し,極めて高い歩留まりと品質を両立して最優秀賞を獲得した秋田大学のほか,指向性を考慮したユニークな湯道兼押し湯を備えつつ,手で堰を折ることができる方案を設計した東京都市大学など,多くの独創的な方案が生まれました.発表会では8チームの代表者がそれぞれの思いや苦労話を語っていただきました.会場では発表終了後も実物を見ながら熱い議論が交わされ,大変有意義な大会だったと感じました.

図1 会場に展示された鋳物

図2 秋田大学(最優秀賞)によるオンライン発表の様子

 

 

 

 

 

 

 

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